2021/01/16 13:10
虹石屋でもよくご紹介させて頂いているパキスタンの石たち。
今回、とても素敵なパキスタンストーンをまとめてお迎えすることが叶いました。
これからご紹介するにあたり、この際なのでマップで図示しつつパキスタンの産地をご紹介しようと思います(なんだかんだ文章だけではイメージしにくいですしね。地図画像は了承を得てお借りしたものです)。
店主はパキスタンの石が大好きです。(そして今一番行きたい国がパキスタン)
石が好きな方は同じ石でも産地にこだわりを持つことがありますが、それはやはりその石が生まれ育った大地の環境によって、見せてくれる表情も光も、それぞれに個性があるゆえと思えます。
そういった意味でパキスタンの石を特徴づけるとしたら、どこか素朴で大地的な響きを感じます。
これはもちろんパキスタンの中でも地域によって異なるのですが、たとえばブラジル産などは「THE クリスタル」という、綺麗に整った、透明度の高い六方晶系の石がイメージされやすいですが、パキスタンの石はプラス、そこにちょっとした野性味や味わい、いい意味での粗野さや無骨さ、山の響きや大地の恩恵を感じることが多いです。
ちょっと泥臭いと言うのかな(褒め言葉です。笑)、土の匂いがしてきそうな、けれどスカルドゥなどの北部は水と光のエレメントを合わせたように非常に澄んでいて。
インドの石もしかりですが、独特の魅力があると思います。
石はそれが育った大地(地中)のエネルギーによって、それぞれに個性豊かな響きを宿しているように思います。
また、いわゆる「ヒマラヤ水晶」と呼ばれているものは一般的にインドやネパール産のものがイメージされますが、ヒマラヤ山脈の範囲という意味でギルギット、シガール、スカルドゥの水晶もヒマラヤ水晶と呼ばれています。
国境なんて後から人間がつけたものですが、ヒマラヤ山脈は実際にはパキスタン、インド、ネパール、ブータンにまでまたがっていますしね。また、パキスタンの北方にはカラコルム山脈やK2など、素晴らしい標高の高い山々もそびえています。
ではでは、前置きが長くなりましたが、以下、マップを見つつ各産地をご紹介していきたいと思います。
パキスタンは石大国で、恵み豊かな大地からはクリスタル意外にも様々な鉱物が生まれています。まずはノーザンエリアの「フンザ」。
フンザはパキスタン北部の山岳地帯。
実はフンザは今一番行きたい場所で、最近はフンザの動画ばかり観ていました。桃源郷と呼ばれるそこは本当に美しい山や谷の光景が広がっており、風の谷のナウシカのモデルとなった場所とも言われています。
標高7.000メートル級のカラコルム山脈のお膝元に位置するその大地は春になると杏や桜、りんごの花が咲き乱れ、夏の緑、秋の紅葉と、四季折々の美しい場所(ただ冬はかなり辛いと思いますが…)。
1974年まで藩王国として存在していた場所のようで、「フンザ」とはもともと弓矢という意味があり、藩旗には弓矢が描かれているそう(なんだかジブリに登場しそうですね)。
水晶意外にも素敵なフローライトなどを産出します。フンザの石はその土地の美しさから春や楽園のようなイメージをまとっているようで、とても好きな産地です。石が育つのは地中ではありますが、その上の大地が美しいということは、やはりそういった恵みの響きをもった大地なのだと思えます。
フンザから少し南に下ると「ギルギット」という地域があります。
町は標高1.500メートルの盆地にあるようで、ここもクリスタルの産地としてよく名を聞く場所だと思いますが、実際にはノーザンエリア一帯の石が集積ポイントとしてここに集まることがあり、それらをまとめて「ギルギット産」と表記することもあるそうです。
(それゆえフンザやシガール、ハーラン、といったはっきりした産地表記があるものは稀です)
お次は少し南東に寄ったシガールとスカルドゥ。
地図上では中国とインドに挟まれたような地理に位置しています。もともとこの2つの産地は30キロ程度しか離れていないようですが、それらの間にはインダス川が流れており、それぞれが独立した産地として扱われています。
スカルドゥは標高2400メートルに位置する山岳地帯。ヒマラヤ山脈にある世界第2位の標高をもつ「K2」の起点となる町で、北方にはカラコルム山脈があり、その周辺は「神々の山」と呼ばれているそうです。
一時スカルドゥ周辺の動画などもよく見ていたのですが、本当に…美しい場所です。シガールには渓谷もあり、高い山々に囲まれた雄大なそこはまだまだ眠っている石たちがありそうな雰囲気。そう、パキスタンの石って「雄大さ」を感じるかも知れませんね。
スカルドゥは豊かで個性的な宝石や鉱物が産出される山でもあり、とてもクリアな透明感と光の輝きをもったヒマラヤンクリスタルを産出しています。
何となくの雰囲気ではありますが、スカルドゥはクリアだけれどどこか男性的でワイルド、そしてシガールの石はより柔らかで女性的な響きをもっているように思います。すぐ傍らで生まれた石ではあるけれど、それぞれ兄弟のように微妙にちがった表情をもっていて面白いです。
ただ、どちらも標高のある山岳地域なので、やはりとてもクリアーで澄んだものを感じます。どことなくガネーシュヒマールに似ているものも。
(以前ここから50キロほど南にあるインドの「カルギル」という町とその周辺を旅していたことがありますが、その周辺は本当にテレビで観るような雪山で迫力満点。落ちたら死ぬな…という険しい道をひたすらバスで移動しましたが、こんな場所ならまだ未発見の石たちもたくさんあるのだろうなと思いました)
お次は中西部に位置する「ザギマウンテン」。
ザギについてはこちらのブログ記事にて詳しく綴っています。
「ザギマウンテン ~聖なる山の恵み、地球からのギフト」
そして地図からははみ出ているのですが、この更に南西部バロチスタン州、イランに近い場所に「ハーラン」という地域があります。
ハーランのことは詳しくはわからないのですが、恐らく砂漠や荒野が続いているような地域なのではないかな?と思います(沢木耕太郎の「深夜特急」のドラマでイランへの道中がそんな風だったというだけの知識ですが。笑)。
※追記。写真を見てみるとやはり荒野や砂漠の連なる乾いた土地のようです。ここは今とても興味のある場所で、ぜひ行ってみたい場所。
もともとハーランでは素晴らしい石がたくさん採れるのだと思いますが、調べてみると国内に出回っているものはとても稀で、ほとんど見かけません。
今回5点のハーランの石をお迎えすることができたのですが、どれも本当に素敵で、まだまだハーランのことを知りたくなります。何となく砂漠の町で素敵な石に巡り合えたら素敵だな、という物語とともに、いつかこの目で確かめに行きたいです。
産地についてはこんなところなのですが…
虹石屋でこのパキスタンの石たちをひとまとめのスペースに置いていたところ、やはりそこだけ雰囲気といいますか、空気が違うことを感じました。
石はやはりそれぞれに響きを持っていますね。
これはパキスタンでなくとも他の産地のものでもいいのですが、ある産地の石たちを迎えることでそこで生みだされるもの・動き出すものってあると思っていまして、自分の中にあるその石のシンボルやエネルギーが目覚めていくように思います。
その意味でならパキスタンの石は雄大さやクリアさ、大地的なグラウンディングや、けれど澄んだヒマラヤの響き、天と地に根差したものも多いように思います。どっしりと体の内側に響いてくるような頼もしさと清澄さ。何となく、物語を感じる石ですよね。
パキスタンの石のご紹介は以上ですが、最後に…
何と言っても、私たちがこうして遠く離れたパキスタンの石を愛でることができるのは採掘者の方々のお陰です。
特にヒマラヤ周辺の石は標高の高い村からさらに徒歩で採掘ポイントまで行き(道が険しくて車が通れないので)、爆薬なども使わず全て手掘りで採掘しているとよく耳にします。そして採掘した石をかついでまた村へ戻って…
石が遠く離れた場所へも行けるのは彼らのそんな働きあったればこそで、時にはそういったことにも感謝とともに心を向けたいなぁと思います。調べると写真などが出てきますが、やはり体力や根気が必要な作業だと思います。
今、世の中こんな風ですが、いつかパキスタンを旅して、現地から直接石たちをお迎えできたらいいです。