2023/06/07 14:29
新宿ミネラルショー2023アイテム。
今回トップバッターに決めていたこの石は、おそらく本邦初公開となるパキスタンの美しい石---その名も「テンペストクォーツ(嵐のクリスタル)」です。
ミネラルショーアイテムの中でも、この石たちは一番初めにご紹介させて頂こうと決めていました。とてもとても、スペシャルでこころ惹かれた石です。
ショップでも初登場、ミネラルショーを除いては、おそらく国内(もしかしたら世界でも)初登場かなぁと思います。
この石たちを紹介してくれたのは以前から親交のあるパキスタン人のセラーでした。
彼とはご縁があるようで、実は一番初めにザギやパキスタンストーンたちをご紹介させて頂けたのも彼がきっかけでした。それ以来、ミネラルショーで出会っては素晴らしい石をお迎えさせて頂いていたのでした。
この石たち…
実は少し前に彼のところでお披露目されてはいて、「なんて美しい石なのだろう…」と大変にこころ惹かれていました。
が、そのとき彼がもってきていたのは巨大なサイズばかりだったので、お迎えするまでには至らなかったのでした(本当に美しくて、かなり迷ったのですが笑)。
今回の新宿ショーではほどよいサイズのもの---しかもクオリティのよいものがたくさん並べられていて、「これは!」と嬉々としてお迎えしたのでした。
そこにあるだけでひときわ目を引くこの姿。
何しろ他にはない美しい石の姿をしています。
昨年採掘されたばかりのNewストーンだそうですが、パキスタンのヒマラヤエリア、「フンザ」のすぐ近くにある鉱山から発見されたそう。
パキスタンの水晶エリアについては以前詳しく書いたこちらの記事をご覧ください。この地域は美しいフローライトや水晶が採れます。
https://nijiishiya.thebase.in/blog/2021/01/16/131037
セラーの彼はご兄弟が鉱山の採掘に携わっていて、本当にパキスタンの鉱物についてはプロフェッショナルなのですが、この新しい水晶たちは彼がそのとき全て買い取ったそうです(つまり、今のところここからでしか入手できないはずです)。
彼の話によればこの鉱山では他にアクアマリンやフローライトも出ているそうで、もともと豊富に、色とりどりに鉱物たちが息づいている場所だったのでしょうね。
このBlack&Yellowの姿。
正体はなんとブラックトルマリン(ショール)の針結晶がふんだんにインクルージョンされたもので、そこをクラックに沁みこむようなイエローのリモナイトが彩っています。
その姿と色合いは「嵐の石」と呼ばれるピーターサイト(テンペストストーン)を彷彿とするものでもあり、また嵐のように内なる激しさを感じたことから、「Tempest Quartz(嵐の水晶)」と名付けてみました。
イメージとしてはピーターサイトのクリスタル版、といったところでしょうか。
写真をご覧いただくとわかる通り、このグループの特徴はトルマリンによるブラックとリモナイトによるゴールドです。
今回の石たちはややイエローは少ないのですが、ショーで並べられていた他の石はそれによってはふんだんにイエローが入っているものもあり、本当に「雷雲をそのままクリスタルにしたよう」な、非常に格好よい姿のものも。
(色合い的には「Tiger Quartz(トラ水晶)」という名前でもよいと思います笑)
まるで嵐が巻き起こっているようなトルマリンのザクザクの針たち。
そして稲光のようなリモナイトのイエロー。
この石たちは、組成は違えどピーターサイトがそうであるようにパワフルなものを秘めたグループだと思えます。
クリスタルでそのようなタイプはなかなかお目にかかれませんが、それはやはり内包されているインクルージョンゆえで、同じくパキスタンのザギマウンテンと似たような魅力---「内包物の美」をふんだんに宿しています。
本当に本当に、新たなブランドストーンとして打ち出したい石です。
ブラックトルマリンはもともととてもパワフルな鉱物です。
雷雲のようなと表現しましたが、実際にトルマリンは電気石の名の通り帯電性があり、またマイナスイオンを放出しているといわれていますね。
モリオンもエジリンもオブシディアンも、黒い石というのは不思議にぎゅっとパワーが詰まっていて、そしていわゆる(よくいわれるように)「魔除け」に似たちからを感じます。
なぜ黒い石がそうなのか?
理由はわかりませんがブラックトルマリンも非常にパワフルな鉱物で、たとえば大きめの単結晶や柱状結晶が束になったものは、ものすご~く密な、グラウンディングしたパワーを感じます。
鉱物は、同じものでも結晶の仕方でその「響き方」のようなものが変わってくるように思いますが、針結晶を含んだクリスタルももともとパワフルな印象があります。
テンペストクォーツの場合、なんとほとんどの石がブラックトルマリンを母体としながら水晶が育っていて、その中にギリリと針が結晶しています。
つまり、土台からすでにブラックトルマリンなので、なおのことパワフルなイメージなのです。
(すべてではありませんが、底面に見えている黒い部分がそれです。また、セラーの話ではアクアマリンや雲母と共生しているものもあるそうです)
このたくさんの黒い針は、低位のエネルギーをザザっとお掃除してくれるイメージが昔からあります。いらないもの・古いエネルギーをザワザワと刺激して、昇華するのを助けてくれる感じ。
それは「古いものを掃除してくれる嵐」というイメージかも。
溜まった塵を巻き上げて表に出して、そして取り去るのを手伝ってくれるようなこと。
そんな針結晶ゆえか、そもそもが「波動がつよい」と感じさせてくれる石でもあるので、小さなお護りにもよいかもですね。
ともかく、ぜんぶをひっくるめて「嵐を内包した石」という感が個人的にはあります。嵐のように「静かなる激しさ」を秘めた石で、ギリリと強いものをもっています。
眺めているだけでもゾワゾワとエネルギーがお掃除されるような、それでいて非常に美しい・格好いい見た目をしています。
(以前ほとんど同じようなことを書いた石があったな…と思い出せたのは、リーベカイトを嵐のようにインクルージョンしたブルーザギマウンテン。やはり青や黒の針結晶をたくさん含んだ石はパワフルです。それはゴールドのルチルとはまた違うものなのです)
そして黒だけでなく、ゴールドのリモナイトがそこに明るさやスパークするような光、希望のような彩りを添えているのも素敵。
個人的に、とってもツボなこの石。
好みがわかれる石かも知れませんが、針結晶が好きな方、内包物が好きな方、またザギが好きな方なら、同じくツボに入る石だと思います。
僭越ながら「うちでならこの石の魅力をしっかりお伝えできるはず!」とも思い、そこにあった非常にクオリティの高い石を今回すべて引き取りました。
ですので、今回ご紹介するのは本当~~~に、ハイグレードなテンペストクォーツ。鉱物としてのクオリティが大変に優れています。素直にとても美しい石たち。
他の石が美しかったのはもちろんなのだけど、結晶形が崩れていたり、やや不透明なものも多かったのです。
なので、今回の6点は本当に自慢のテンペストたち。
すべての結晶の透明度が高く、また石肌はびっくりするくらい照り照りなものも多いです。そして美しい「窓」のようにファセットが開けたものが多く、そこから覗ける内面世界がアクアリウムのようで美しいです。
今考えるともっとお迎えすればよかった!と思うのですが(笑)
ショーでは「ブラックパンサー」と呼んでいた、トルマリンで真っ黒になったクリスタルや、「雷鳴の王さま」のように美しい超Bigサイズなどもあり、このグループは本当にそれぞれ表情が豊かなのです。
また、セラーの彼はいつも友情価格でどーんとお安く石を紹介してくれるので、今回のテンペストたちも、ロープライスにてご紹介しています(感謝)。
このグループが見つかった鉱山はおそらく今のところひとつだけですし(というかこの場所でしか生まれないのでしょう)、今後もマーケットに出回るかは不明。もしかしたら彼の分が最後になるかも知れません。
ピンとくる方はぜひお迎えされてください。
今後も彼のところで素敵なものと出会えたらお迎えしたいなと思っていますが、、その時あったよきものはほとんど引き取ってしまったので難しいかも。
個性的な美しさをもった、唯一無二の新しい石たちです。
今回のショーアイテムの中でも「推し」の逸品。パワフル&ビューティフルな石。
大変希少なものですし、鉱物的に見ても美しく、鉱物コレクションとしてもとても推したい石です。
素敵な出合いとなりますように。
*どちらも写真よりもムービーの方が石肌の照り、内包物の豊かさが伝わるかも知れません。また、ほとんどの石がクラックから虹を出しているのですが、そちらもなぜか動画の方にだけ映っています(笑)日陰・日向で撮影していますので、お色味もそちらでご確認ください。
*「テンペストクォーツ」は店主がつけた名です。鉱物的には「ブラックトルマリン&リモナイトinクォーツ」になります。また、ややこしいのですがクロシドライト由来の「テンペストストーン(ピーターサイト)」とは別物です。