2022/06/27 10:30


初登場。青い海と地中海の風を彷彿とする魅惑的な産地。

「エーゲ海クリスタル」たち。




こちらはなんとなんと、エーゲ海に面したトルコ西部の2つの町、「フォチャ」と「アイドゥン」という場所で産出した水晶たち。

…あのエーゲ海に面した場所でクリスタルが採れるなんてと、初めて知ったときは驚きとともにとてもロマンを感じて惹きこまれました。

トルコ水晶のイメージはもっと無骨で、白濁するようなクラスターのイメージしかなかったのですが(笑。あれはあれでもちろん素敵なのだけど)、今回このエーゲ海クリスタルたちを見てびっくり。

とても多様な石の生態系をもっているのです。




こうして並べてみると、何かかわいい海の生きもの感がありますねぇ。。

アルプス水晶にも似た透明度が抜群のスモーキーや、そうかと思えばバッキバキのエレスチャルも。

ヒマラヤ水晶のように透明なクリスタル、クローライトを内包したグリーンクォーツ、とても綺麗なファントムやセプタークォーツ、さらにはモリオンまで(!)見かけました。

さまざまな色と姿。
トルコのエーゲ海エリアでこんなに種々な石たちが採れるとは、嬉しい驚きです。

(このようにまだまだ知られざる石たちが世界にはたくさんあるのでしょうね)





個人的な感覚ですが、このエーゲ海クリスタルたちを並べて見ていると、姿かたちはまったく違うのですが、不思議とどこかザギマウンテンたちと感覚が似ているな、と感じていました。似たような魅力といいますか。

つまり、限られたエリアのなかで多様な石たちが産まれる「豊富さ」「豊かさ」「恵み」のようなものが。
きっとそこは石たちにとってとても恵まれた大地(環境)だったのでしょう。ザギが山の恵みだとしたらエーゲは海の恵みかな?

そんな産地の貴重さも相まって、やはりひとつひとつを宝もののように扱いたい魅力、ブランドとして扱いたい魅力がこの石たちにはあります。
どれもとっても個性的です。




ここで産地のことを少しばかり。
やはりこの石たちはエーゲ海のエリアで採れたということが最大の魅力だと思います。

まず、産地のフォチャもアイドゥンもトルコ西部に位置していて、それらの県はエーゲ海に面しています。

(余談ですが、地図を見ていると、この海を渡るとアテネーーギリシャやその島々がいくつもあって、南へ行けばクレタ島があるのだなぁ、、などと思うとロマンをかき立てられますね。エーゲという語源は、古代ギリシャ語で「波」を表しているそうです)

エーゲ海はギリシャとトルコに挟まれた美しい入り江状の海域で、地中海の一部。

地中海そのものは約560万年前に大陸から切り離され、その後大西洋の海水が流れ込んだそうですが、この石たちの成り立ちもそれぐらいか、もっと古いのでしょうか。

調べてみるとアイドゥンはもともと歴史の深い場所だそうで、谷になっている肥沃な大地の上に今では都市が広がっているよう。

対してフォチャは本当に「海沿いの町」といった印象で、石造りの家屋や風車、オレンジ色の屋根、エーゲ海の青い海やビーチなど、とーても美しい場所のようです。




また、この2つのエリアの近くに有名なエフェソスの古代遺跡や神殿があります。

たくさんの乳房をもった姿の「エフェソスのアルテミス」は有名ですが(ギリシャのアルテミスの純潔性とは裏腹に、豊穣多産など、この土地に根付いた大地母神性を彷彿としますね)、

大理石のこの神殿は紀元前700年ほど前に建てられたとされていて、また、傍にはキリストの母のマリアが晩年を過ごしたとされる場所があるなど、なにか女神的なパワーのつよい場所なのかな?と思いました。

歴史や信仰性を鑑みると、もともと「女性性」「生みだすちから」「豊かさと恵み」のつよい大地なのかも知れません。
アルテミスと習合されているキュベレーは、もともと大いなる地球の大地母神ですしね。




この内、フォチャ産の水晶の方は実際に海沿いの崖にある晶洞から採れるそうです。
これらは石灰岩に覆われた崖だそうで、そこには数多くの晶洞があるのだとか(ロマンですねぇ)。

対してアイドゥン産はそのエリア(県)の各地から水晶が採れるようです。

アイドゥンはエーゲ海に面していますが長い谷になっているエリアですから、それらの山々が形成された時、海沿いや内陸地に水晶が誕生したのかも知れません

(※両方とも「エーゲ海クォーツ」としていますが、アイドゥンの方は海沿いで産出したものかは不明です。少し内陸部で採れたものかも知れません。エーゲ海エリアのイメージとして捉えてください)





そのようにして、今回初登場のエーゲ海クリスタル。

産地のイメージってやはり時々とてもロマンを駆り立てられますね。
「エーゲ海×クリスタル」という組み合わせ。なんとも素敵で、海とクリスタルの物語を感じます。

また、地中海のイメージがそうですが、温暖な気候や自由さ、開放感を想起できる石だと思います。
海の響きを宿した石、エーゲ海の波音や潮風を記憶しているかも、と思ってもロマン。




とても希少なものですし、鉱物コレクションとしてもぜひどうぞ。

エーゲ海の宝ものとして、ぜひお迎えくださいませ。