2021/01/17 14:00
(つづき)
列車で数時間かけて、アスワンの町へ到着しました。
アスワンはエジプトのかなり南に位置しているのですが、「ヌビア」と呼ばれる肌の黒い人々が住まう、カイロなどとはまた異なる雰囲気の土地でした。
旅をしていると辿り着いた町が自分と相性のよい町かどうか?が数歩ぐらい歩くと大体わかるのですが、アスワンは着いた時からあまり相性を感じず、長居する場所ではないな、と感じました(ナイルの流れる素敵な場所なんですけどね)
実際、アスワンでは手首を痛めたり宿の主人と相性がわるかったり、エジプト式手動ウォシュレットの出を確かめようとしたら誤って服三枚ぐらい貫通する量のタンク水ジェット噴射を浴びたりと、その他何かと凶事(というのか)が重なっていました。
アスワンはスークと呼ばれる市場や土産物屋をごった煮にしたような通りが長く続いています。通りの向こうはすぐナイル。
素敵な通りだな~と思って撮っていたら横にいたおっさんに「ここは俺のストリートだから写真撮るならお金ちょうだい」と笑顔で言われたので「へ~そりゃすごい、じゃまたね」と笑顔で立ち去る。海外のこういうやりとり、結構好きです。
泊まっていた安宿の屋上から見たアスワンの朝日。
翌朝、すぐにアスワンを断って最南端のアブシンベルへ。
バスターミナルに向かってようやくやってきたバスに乗りこみ発車を待っていると、何やらいつもと様子が違うような…どうやら車内で切符を買うスタイルじゃないっぽいなと、満席近くになって気づいて飛び降りると「今の一枚でちょうど売り切れたよ」と。
あの、私一時間以上前からここのターミナルで待ってたんですけど…。
その場に居合わせた、日本語を日本人以上に喋れるエジプト青年のおかげで、なんとか半額で空気椅子の座をゲット(ラッキー)。
こうして無事に車内の地べたに座りこみながら砂漠を突っ切ってアブシンベルへと向かいました(こういうのも好きです)。
アブシンベルは神殿で有名な、とてもとても小さな町。
けれどのどかで人も素敵で、好きな町でした。
泊まった宿はざっと築千年ほどのいつも通りのボロ宿でしたが、庭からはナセル湖が見渡せて素敵な所でした。
アブシンベル神殿と町並みと人々。
エジプトの旅はひとまずアブシンベルまで南下して神殿を巡ったら、次は再び北上して西へ折れ、ひたすら砂漠とオアシスの町を巡るつもりでした。
アブシンベルからオンボロバスで北上する時、実はアスワンで行きたかったイシス神殿の近くを通ることがわかって、途中下車。アクセスのわるい場所で諦めていたので助かりました。
イシス神殿のある町は一応アスワンだけど、街外れの方だからまぁまぁ相性いいだろうとタカをくくっていたらこれがまぁ不思議に降り立った瞬間から腹立たしいことの連続で。なんやかやあってようやく島々になっているイシス神殿への橋渡し場まで到着しました。
船着き場はたくさんの船が停泊しているのですが、その桟橋の両脇には所狭しと露店の土産物屋が広がっています。
とりわけ、その中で青いガラスのようなものがゴロゴロとたくさん転がっているのが目にとまりました。
写真の左端、少し道に飛びだしているのがそれです。この奥にも大量のそれらが並んでいます。
これは一体なんだろうと覗いていると「ガラスじゃないよ。シリカ(石英、クォーツ)だよ」と露天商が声をかけてきました。
露天商はこれをヌビア地方で採れたシリカだと説明しましたが、これはいわゆる、「アンダラ」だと思いました。
近々素敵なアンダラを虹石屋でもご紹介する予定なので、詳しくはそちらに書きますが、アンダラはアメリカのネリーさんという方の広大な庭から発見された「レムリア時代の石」と呼ばれる神秘的な石。
なんでも、その昔レムリアの寺院にはこのアンダラが鎮座していたそうですが、姿形はガラスの破片と区別がつかないような見た目をしています。
アンダラはオブシディアン(黒曜石)やインパクトグラスと同じく「天然の火山性ガラスではないか?」と言われていますが、本当のところは誰にもわかりません。
が、このイシス神殿というスペシャルなパワースポットでこんな石と巡り合えるとは…なんだか物語を感じてしまう。
記憶がもうおぼろですが、ヌビアのアンダラのことは調べてもほとんど出てきません。が、金などが採れる鉱床があるようで、おそらくヌビアはさまざまな鉱物が産出する土地なのでしょう。
大量に並んでいるその鮮やかなブルーのアンダラたちに、とても惹かれました。
大小、山のように並んでいるアンダラたち。大きなもので数キロあるものもたくさん転がっています。また、ブルーだけでなくイエローやグリーン、赤いものもありました。
しばらく見入っている私を見て、露天商も「こりゃイケそうだ」とばかりにその天然ガラスを大いに勧めてくるのですが、何しろ旅は始まったばかりでただでさえパンパンのバックパックに石を詰めこむのは少々抵抗がありました。
ひとまずいくつか惹かれる子をキープしておいて、(そういえば)本来の目的だったイシス神殿へ舟で向かうことに。
イシス神殿は周囲を島々に囲まれた素晴らしい場所に違いありませんが、なんだかアンダラのことが頭から離れません。
イシス神殿にいたヌコ。「バステト(エジプトの猫頭の女神)」と勝手に名付けました。
適当にぶらぶらした後、舟に戻って桟橋へ戻ろうとするも、目前になって海上でエンジンが故障(安定のアスワン感)。
これ泳いだ方が早いんじゃ?と思うもバックパックが一緒だったのでさすがに諦めたところでエンジンが再び始動。と思いきや全然動いてくれないのでその辺を通った舟に乗り移ってくれと言われてなんとか舟をまたいで帰港。
やれやれと再び露天商のところに戻ってきました。
どうにもこうにもこころ惹かれてしまうものには抗えず、結局2つのアンダラを別々の露店から(海外旅の基本である値段交渉を大いに活用して)お迎えしました。
余談ですが物価の安い国だと石もとてもロープライスなので、これは海外に買い付けに行く人の気持ちがわかってしまいます。今回のアンダラも、おそらく国内の小売価格の20分の1ぐらいのプライスでした。
この時迎えたアンダラは手の平サイズの大きなブルーと、気泡がたっぷりと入った琥珀のように美しいイエローでした。
それは今でも宝物として夫婦岩のように鎮座してもらっているのですが、ここで少し不思議な話があります。
アンダラには「ユニコーンが角をこすり合わせて生んだ白い粉」と呼ばれる、白い成分が付着しているものがあります(鉱物名を忘れてしまった)。
イエローの方は初めからツルツルだったのですが、ブルーの方にはこの「ユニコーンの粉」がごく一部分のみ付着していました。
が、一年ほどを経た今、その白い粉はうっすらとアンダラ全体を覆っています。
上のフォトは初めに来た頃なのですが、見返してみるとびっくりするほど増えていて今では別人です。
石はクラックや虹を増やしたり、時にはレコードキーパーを出したりするものですが、このアンダラも手元に来てから魔法のちからをぐんぐん働かせているようです。
いっとき、立て続けに3名の方から「明らかにレコードが増えました」とご連絡頂いたことがあり、何気なく自分のもっていた石をみると増えてはいないのですが明らかにレコードが盛り上がっているものがいくつかあって、石もさまざまにメッセージを投げかけてくれるなぁと。
通常、石は珪酸と熱水の環境がないと物理的に育つ道理はないのですが。
石は持ち主との共振によってさまざまに変化する生き物です。
こうして、エジプトでまさかアンダラと出合うとは思っていませんでしたが、その2つの石を詰めこんで、これを皮切りにエジプトでのCrystal Journey(クリスタルの旅)が始まっていきます。
石が石を呼ぶ旅。
~「ハルガ~ダフラ、リビアンドリーム篇」につづく。