2020/07/31 15:27
About ELESTIAL. ~エレスチャルクォーツについて
その独特の雰囲気と姿が美しい「エレスチャル」。別名「天使のギフト」。
今回はこのエレスチャルと呼ばれるクリスタルとは一体何かについて、鉱物学的な視点から綴りたいと思います。
少々専門的で複雑なのですが、どこか玄人好みでもあるエレスチャル(店主は大好き)について、長く書いてみました。
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まず「エレスチャル」という呼び名そのものは鉱物名ではなく俗称です。
和名ではよく「骸骨水晶」と呼ばれていますが、いくつかの主だった特徴があります。
・太古の水や空気、ゲーサイトやレピドクロサイトなど、内包物を多く含む
・水晶の内部が一部空洞になっている
・内部の結晶が層状に成長している
・結晶面の中央がへこんでいる(スケルタル)
・結晶たちが連晶し、重なりあっている(ジャカレー水晶)
・ハーキマーダイヤモンドのように両錐型(ダブルターミネーター)
全てではありませんが、これらのことがエレスチャルの特徴として見られます。
簡単に言ってしまえば表面がゴツゴツとしていて、複数の結晶が結合したような入り組んだ姿がエレスチャルです。
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写真でご覧頂くように通常のスッキリしたクリスタルとは異なりどこか粗野でワイルド、そして古めかしさを感じる姿のエレスチャル。
では通常のクリスタルとエレスチャルを分かつものは一体何でしょうか。
それは石が育った成長環境と、そのプロセスに秘密があります。
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エレスチャルに関してよくいわれているのは「長い年月をかけて成長した、クリスタルの長老的存在」「最古の水晶」「クリスタルの最終形態」
というもの。
エレスチャルは何億年という長い年月をかけて成長した、通常のクリスタルとは異なる長老のような石だと言われていました。
なのですが、最近の鑑定技術によると事実はこれとは逆のようです。
実際にはクリスタルの成長に必要な主成分、「珪酸分(二酸化ケイ素)」が非常に多い環境の中で栄養過多によって同時多発的に・急速に結晶化が進み、通常とは異なるスピードと過程で成長したことによってこのユニークなクリスタルが生まれるようです。
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通常、私たちが知っているクリスタルは地下の熱水の中で、「珪素」と「酸素」を主成分として非常にゆっくりと形成されていきます。
諸説あるのですが、一般的にクリスタルは1㎜育つのに100年かかるといわれています。
その成長環境の温度や珪酸量が安定している場合、長い年月をかけて私たちが知っているあのクリスタルの結晶が育まれていきます。
エレスチャルの場合はこれとは逆に、珪酸過多の非常に「栄養たっぷり」な溶液の中で成長がうながされ、「結晶の素たち」が一気に成長を始め、あちこちで、それも特異な仕方で、他の結晶や鉱物を取りこみながら成長していきます。
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言い方をかえればエレスチャルは「非常に栄養豊富な環境で急速に育った、とてもエネルギーに溢れたクリスタル」と云えるかもしれません。
通常のクリスタルよりもパワフルに、ぐんぐんと育っていくのでしょうね。
だからといってこの石が長老的ではないかと言えば、そんなこともなく。
姿も長老っぽいですし、またクリスタルの成長が早いからと言ってその石が新しいとも限りません。
何億年前に成長を止めたものが残っている可能性もありますし、または栄養を長い年月蓄えてから結晶を始めたのかも知れませんし、一概には言えない部分があります。
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クリスタルの栄養源となる成分が豊富に含まれているということは、つまり他の鉱物成分もその環境に含まれている可能性も大きいようです。
これがエレスチャルに内包物が含まれやすい理由のひとつです。
「始原の海」とも呼べそうなマグマで熱せられた高温の熱水の中、たくさんの鉱物を生みだす栄養豊富な環境がエレスチャルを育てます。
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ところでエレスチャルが「骸骨水晶」と呼ばれるのは内包物が透けて見えるからという理由だけでなく、「スケルタル」と呼ばれる、骨組みのように見える特殊な結晶の仕方をするからです。
厳密に言うとエレスチャルにもいくつかのタイプがあり、オリジナルはこのスケルタルなのだと思われます。
スケルタルは先の環境によってクリスタルの面で最も成長しやすい「角の部分」が優先的に成長していくのですが、中央の部分の成長スピードがそれに追いつかず、結果的に層状になったその部分が窪んだものです。
綺麗に出ているものは本当に骸骨や骨組みのように見えて、とても素敵に結晶します。
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エレスチャルには「ジャカレー水晶」と呼ばれるタイプもあります。
ジャカレーとはポルトガル語で「ワニ」のことなのですが、これは細かに連晶している姿のエレスチャルがワニのウロコのように見えることからそう呼ばれているようです。結晶が多いものだとその姿も圧巻です。
こちらも急激な成長スピードであちこちで成長を始めた結晶たちが、結果的に融合するように結合していったものと思われます。
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そして大切なこと。
エレスチャルとはその形状のことで、内包物を多く含む鉱物の総称ではありません。
よくマーケットでも混合されているようなのですが、たとえばスーパーセブンのように数種の内包物を含んだものを「エレスチャル」と呼ぶこともありますが、エレスチャルはあくまで「成長過程に見られる特有の形状」があるクリスタルです。それゆえ波動のようなものも異なると思います。
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この独特な姿、ユニークな佇まいと雰囲気。好みがわかれる石かも知れませんが、個人的にエレスチャルはとても好きな石です。
加えて水入りだとテンション上がってしまいます。「この中に太古の水が」と思うとなんだかロマンですよね。
特殊な環境で育ったエレスチャルはやはり石のもつ「響き(エネルギー)」も、他のスンとしたクリスタルたちとは異なるように思います。
個体差があるので一概には言えませんが、エレスチャルはシンプルに言ってしまえば「波動が高い」ように思えて、この石が「天使のギフト」と呼ばれるのには、なんだか頷けます。
こんなに複雑でゴツゴツとした佇まいをしているのに、不思議です。
通常のクリスタルが外側に放射する光の響きをもっているとしたら、エレスチャルたちはもっと「内側の空洞(スペース)」に響いてくれる感覚。
「虚空としての光」というのかな。それはやはり、「スケルタル」という名前のままなのかも知れません。
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最後に、「ELESTIAL」とは誰が名付けたかはわかりませんが、私が調べた範囲だと「天上」を意味する「CELESTIAL」と、天使の名である「EL」をかけ合わせたもののようです。
きっとこの石の名付け親はエレスチャルに天使的な何かを感じたのかも知れませんね。
虹石屋 店主
織矢